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| モーツァルト：ピアノ変奏曲集─「トルコ行進曲付き」K.331／諸戸詩乃 |
| Mozart: Variations for Pianoforte “Alla Turca” K.331 / Shino Moroto |
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■曲目
W.A.モーツァルト：
[1]-[13] 「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」による12の変奏曲 ハ長調 K.265（300e）
[14]-[24] デュポールのメヌエットの主題による9つの変奏曲 ニ長調 K.573
[25]-[36] グルックの「メッカの巡礼たち」のアリエッタ「愚民の思うには」による10の変奏曲 ト長調 K.455
[37]-[39] ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331（300i）「トルコ行進曲付き」
■演奏者
諸戸詩乃（ピアノ）
■録音
2013年2月／スタジオ・バウムガルテン（ウィーン）
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★「レコード芸術」2013年10月号【準特選】
20歳を迎えさらなる飛躍を遂げる若き才能
15歳でウィーン国立音楽演劇大学ピアノ演奏科に飛び級で入学し、以来ウィーン、ザルツブルクを中心に研鑽を積む若き才能、諸戸詩乃。
3作目となる本作では、デビュー盤でも取り上げたモーツァルトの作品から変奏曲と、変奏曲形式の楽章をもつ名作ソナタを収録。20歳を迎え、一層の表現力を増した煌びやかな演奏は、ピアニストとしての充実ぶりをうかがわせます。
●JVC K2レーザー・カッティングによる高音質
皆さまへ
私の2作目のアルバム・シューベルトの「即興曲集・楽興の時」以来、2年半が経ちましたが、その間大きな心の変化もありました。このアルバムを発表した直後に起こりました東日本大震災以後、私の中で何か大切なものが目覚めたような感じがいたします。それは、日本人としての誇りや、私が関わる全ての人々への感謝の気持ちというようなものでした。奇しくも、大震災の起こった3月11日は、私の18回目の誕生日でした。そうして日本のみならず、世界的にも大きく変化を遂げようとしている潮流の中で、3作目のアルバムを発表させていただけますことは、私にとって大きな喜びでございます。
今回、3作目のアルバムを録音するに当たっては、1作目のアルバムに引き続き、再びモーツァルトの作品に取り組むことになりました。思えば10歳でウィーンに留学してからこの方、私は長い間モーツァルトの作品と共に歩んで参りました。ウィーン音楽大学の準備科から長く師事していたドヴォラック＝ヴァイスハール教授は、ウィーン・クラシックに精通された方で、モーツァルトのピアノソナタには、ピアノの基本的なテクニックが散りばめられているとよくおっしゃっていました。 私は昨年、無事音楽大学の大学院に進級させていただきましたが、ヴァイスハール教授の下を旅立った今も、モーツァルトの作品から遠ざかることはありません。モーツァルトは、演奏する度ごとに、新しい発見や醍醐味を与えてくれる数少ない作曲家です。そして今でも、演奏するのがとても難しく感じられる作曲家の一人です。
特に、3作目のアルバムにおいて、変奏曲に取り組ませていただきましたのは、音楽大学のハイドン研究室で精力的に指導に当たっておられるインゴマール・ライナー教授に薦められたことがきっかけです。モーツァルトの作品を特別に勉強したいと申し出た私に、ライナー教授が薦めて下さったのが、このアルバムの3曲目に収録されている「グルックの『メッカの巡礼たち』のアリエッタ『愚民の思うには』による10の変奏曲」でした。この変奏曲は、第10変奏にカデンツァを擁する壮大な作品で、モーツァルトのピアノ曲の中では技術的にも最高レベルの作品です。ウィーンのモーツァルト絶頂期に作られた作品で、彼の変奏曲群の中でも取り分け重要な位置を占めています。モーツァルトの作品は特徴の一面として、とてもシンプルなことが挙げられると思います。しかしそれは、この時代の演奏に対する考え方の一面を表していると思います。即興演奏が重要な位置を占めていたモーツァルトの時代においては、無駄のないシンプルな作品に、装飾音を交えるなど、演奏ごとに奏者自身で変化を凝らしていくのが当然とされていました。もちろん音楽としての様式・規範はありましたが、彼らの音楽の楽しみ方・表現方法として、即興演奏・即興変奏・装飾音などを入れこむということが、自然に行われていたのです。そういった意味において、このアルバムに収めさせていただいた作品にも、そうした当時の楽しみ方を可能な限り再現させていただきました。特にこの時代の作品を彩る軽やかな美しい装飾音の数々は、ショパンエチュードやリストの超絶技巧練習曲を弾くのと同じくらい高度なテクニックが必要だと感じています。指のコンディションだけでなく、体も十分に温まり、疲れが取れていないと弾くことはできません。長時間に及ぶ録音では、特に力まぬように、姿勢を正しく保ち続けることに神経を注ぎました。そしてこの作品を軸としながら、通称「きらきら星変奏曲」や「デュポール変奏曲」といった宮廷生活を彷彿とさせるモーツァルトらしい作品と、彼の最高傑作の一つであり、第一楽章が変奏曲形式で書かれた、K331 のピアノソナタをカップリングした正に夢のCDに仕上げることができました。特にこのソナタの最終楽章は「トルコ行進曲」としても親しまれています。このアルバムでは、ライナー教授の研究に基づいた「トルコ行進曲」を再現させていただきました。ジャケットのカラーや装いも「トルコ風」を意識してみました。いかがでしょうか。
最後になりましたが、今まで厳しくも温かく導いて下さいました先生方、音楽関係者の皆さま、そして何より、私のCDを手に取り、私の音楽を聴いて下さるファンの皆さまに、心よりお礼を申し上げます。皆さまにこのＣＤを楽しんでいただけましたなら、これほど嬉しいことはございません。
2013年8月25日 諸戸詩乃
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Wolfgang Amadeus Mozart (1756–1791):
[1]-[13] 12 Variations in C Major, K.265 (300e)on “Ah, vous dirai-je, Maman”
[14]-[24] 9 Variations in D Major, K.573 on a Minuet by Jean-Pierre Duport
[25]-[36] 10 Variations in G Major, K.455 on “Unser dummer Pöbel meint” from Gluck’s “Die Pilgrime von Mekka”
[37]-[39] Piano Sonata No.11 in A Major K.331 (300i)
Shino Moroto, piano (Steinway & Sons)
Recorded: February 2013 / Studio Baumgarten, Vienna
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◎CD
●CMCD-28188 モーツァルト：ピアノ・ソナタ集／諸戸詩乃
Mozart: Piano Sonatas K.332, K.333, K.283, Rondo: K.485 / Shino Moroto
●CMCD-28232 シューベルト：即興曲集 作品90＆楽興の時 作品94 ／諸戸詩乃
Schubert: Impromptus Op.90 & Moments musicaux Op.94 / Shino Moroto
◎DVD/BD
●HQMP-10004 モーツァルト：ピアノ・ソナタ集／諸戸詩乃【DVD-ROM】
Mozart: Piano Sonatas K.333, K.283, Rondo: K.485 / Shino Moroto [DVD-ROM]
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CD