カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
 
インデアミューレ、シュルツ、リー、オッテンザマー ほか/ハイドン:ノットゥルノ全曲集(1)
  2009年2月14,16〜18日/スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)

 フェルトキルヒでのトリオの録音(2月6日〜9日)を終えてウィーンに戻り、14日からは本拠地バウムガルテンにオーボエのトーマス・インデアミューレを迎え、セッションを行った。採り上げるのは、今年没後200年を迎え注目を集めるヨゼフ・ハイドンの作品。これまで録音の少なかった、オリジナルでは“リラ・オルガニザータ”のために書かれた作品のレコーディングをスタートさせた。
 今回は6曲の「ノットゥルノ」を収録。編成は2クラリネット、2ホルン、2ヴィオラ、チェロ、コントラバス。ソロ楽器として、2台のリラ・オルガニザータのパートをフルートとオーボエが演奏。ほぼ交響曲に近いサウンドで、機知に富んだ作品の素晴らしさは、さすが天才ハイドン。今まで聴かれることも録音されることも少なかった……とは信じられない秀作である。作品のいわれは、1785年、ナポリ王国の王フェルディナントIV世のコミッションで、2台のリラのために書かれたというコンチェルト。
 “lira organizzata”という楽器は、現在は完全に消えてしまったもので、今年4月10日にウィーン楽友協会で再現された楽器で演奏会を予定しているようだが、小さなオルガンのような機能を持った楽器と思われる。
 録音メンバーはヴィオラにウィーン・フィルのトップ、トビアス・リー、ホルンにフォルカー・アルトマンが参加。クラリネットには売り出し中のウィーン・フィルのソロ、エルンスト・オッテンザマーの息子2人などなど、シュルツ・ファミリーの強力なメンバーで、和気あいあいと楽しく、でも厳しいセッションとなった。今年度中にはぜひ世に問いたい。
 「ノットゥルノ」の残り2曲、2本のクラリネットがヴァイオリンに代わる曲は、アルバン・ベルク四重奏団のメンバーだったゲルハルト・シュルツらが加わり、6月に収録の予定。
 (井阪 紘)

【参加メンバー】
トーマス・インデアミューレ(オーボエ)
ヴォルフガング・シュルツ(フルート)

カメラータ・シュルツ
 ダニエル・オッテンザマー(第1クラリネット)
 アンドレアス・オッテンザマー(第2クラリネット)
 フォルカー・アルトマン(第1ホルン)
 ヨナス・ルードナー(第2ホルン)
 トビアス・リー(第1ヴィオラ)
 イルゼ・ヴィンツォア(第2ヴィオラ)
 リリア・シュルツ(チェロ)
 須崎昌枝(コントラバス)

【曲目】
F.J.ハイドン:ノットゥルノ
第1番 ハ長調/第2番 ヘ長調/第3番 ハ長調
第4番 ハ長調/第5番 ハ長調/第6番 ト長調

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