Camerata Recording News

 2月17日から始まったカメラータのウィーン録音では、ウィーン・フィル・メンバーによる室内楽をまず3つ。そして今回は、グループ創設の頃より友人としてアドヴァイスしていた“アンサンブル・ウィーン=ベルリン”が、初録音となるジャン・フランセの作品集を完成させて3月1日に終了しました。
 録音場所はすべて、スタジオ・バウムガルテン、ウィーン。レコーディング風景もまじえてご報告いたします。(プロデューサー:井阪 紘)


(1) 2月17日〜18日  ウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団
 ペーター・ヴェヒター率いるこのグループは、先月に引き続き、ベートーヴェン作品集の完結に取り組みました。今回の録音は作品9の1と作品9の3で、12月の録音とあわせて作品9の3曲が揃いました。
 オーストリアも風邪が流行っていて、チェロのノージュも録音前に1週間ダウン。7kgも痩せたとの知らせに、当初はレコーディングそのものも危ぶまれたのですが、幸い録音の2日前からオペラにも復帰。
 昨年のベルギーでのコンサートでも取り上げた3曲だけに、手に入った美しいアンサンブルを聴かせてくれ、ウィーンらしいやわらかな音で収録されました。このCDはウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団来日の11月にあわせて発売の予定です。
[★CDは1999年7月、30CM-565〜6として発売]
(2) 2月22日、28日  ヒンク&スタンチュール・デュオ
 12月に録音されたイ長調のデュオに続いてのレコーディングです。シューベルトのヴァイオリンとピアノのデュオのアルバムに必要なのはあと2曲なのですが、ヒンクの多忙なスケジュールをぬって、今回はなんとか「ロンド」を録音しました。
 残る1曲は「幻想曲」になる予定。実はこの曲はすでに、ヒンク&スタンチュールのデュオでの新録音が別にあり、ブラームスの第3番のソナタと併せて、かれらの来日する4月に新星堂の『ウィーン』レーベルから発売の運びとなっています。その録音ではイタリアのピアノ「ファツィオーリ」を使用しているのですが、現在進めている録音ではベーゼンドルファーの「インペリアル」に統一して3曲を収めます。カメラータにはカリーン&ドリス・アダム姉妹によるシューベルトで秀でた録音もあり、カタログの上でも急ぐものではないので、ヒンク・デュオのレコードは、少し時間をおいてから「幻想曲」を再録した上での発売となります。とにかくスケジュール調整が大変なヒンクですが、次の録音のために良い機会をみつけようと画策中です。
[★CDは2001年5月、28CM-550として発売]
ウェルナー・ヒンク
(3) 2月23日〜24日  アンサンブル“11”(イレヴン)
 トランペットのハンス・ペーター・シューやホルンのラルス・ミヒャエル・ストランスキー、オーボエのゴットフリート・ボイシッツ、ファゴットのラインハルト・エールベルガー、フルートのギュンター・フェダセルといった顔ぶれに、まとめ役としてトロンボーンのカール・ヤイトラー。ウィーン・フィルの木管、金管そして打楽器の11名からなる「アンサンブル“11”」は、3月の「レコード芸術」でも紹介されたように、目下「リング・アンサンブル」を抜いてウィーン・フィルの中では今一番大きい室内楽グループです。1999年1月22日の「フィルハーモニカー・バル」のプレゼントCDに、3曲のヨハン・シュトラウス・ピースが入ったことで、オーケストラのメンバーも初めて存在を知ったという最新グループでもあります。
 カメラータには既に昨年度中に全曲モーツァルトのプログラムで1枚録音が終わっており、この春にも発売の予定です30CM-570として発売済)。今回は2枚目のヨハン・シュトラウス作品集の第1回レコーディング。2日間でCD約半分の楽曲を録り終えました。第2回目のレコーディングは6月になる見込み。収録を予定している作品は以下のとおりです。

 シュトラウス II:無窮動、エジプト行進曲、祭典行進曲、「こうもり」序曲、
          アンネン-ポルカ、狩にて、ハンガリー万歳、狂乱のポルカ、
          トリッチ−トラッチ、春の声、酒・女・歌
 シュトラウス I:ラデツキー行進曲
 ヨゼフ・シュトラウス:小さい風車、遠方から、Stadt und Land、
            わが人生は愛とよろこび
 エドゥアルト・シュトラウス:テープは切られた、Elektrisch
 [★CDは2000年6月、28CM-594として発売]
アンサンブル11
(4) 2月27日〜3月1日  アンサンブル・ウィーン=ベルリン
アンサンブル・ウィーン=ベルリン ドイツ・グラモフォンとソニー・クラシカルに17枚ほどレコーディングをしてきた現代のスーパー木管五重奏団“アンサンブル・ウィーン=ベルリン”。契約切れと同時に最も親しい仲間であるカメラータに移っての第1回の録音は、全曲ジャン・フランセ作品の収録となりました。
 最大規模の作品は、“恋人たちの時間”と題した「ピアノ六重奏曲」で、「木管四重奏曲」「フルートとピアノのためのディヴェルティメント」「オーボエ、ファゴットとピアノのためのトリオ」が新録音。それに既に発売されているライスターの『フランス近代クラリネット作品集』から「主題と変奏」が加わって1枚となります。ピアノはカメラータに現在バルトークのピアノ独奏曲シリーズを録音中のフェレンツ・ボーグナー。
 先の来日公演でグループのメンバーチェンジが伝えられていましたが、ライスターはこの録音を最後にウィーン・フィルのノーベルト・トイブルと交代。また『ジャン・フランセ作品集』はウィンナ・ホルンでは演奏不可能ということで、今回の録音からベルリン・フィルの若い名手シュテファン・ドールが加わりました。
 25年前、オーボエのシェレンベルガーの初めての録音をプロデュースしたのが、カメラータのプロデューサー井阪だったという関係もあって、3人がベルリンからこの録音のために特別にウィーンに飛んできてのセッションは、すべては旧知の和気あいあいとした中。しかし作品は、かれらが今まで録音したなかで最も難度の高いものであり、緊張した中で真剣なテイクが繰り返され、無事3日間の収録が完了しました。ピアノはベーゼンドルファーの協力による新しいグランド・ピアノが用意され、録音的にも最高のものとなりました。
[★CDは2000年1月、28CM-580として発売]
アンサンブル・ウィーン=ベルリン
(追記)ウィーン弦楽四重奏団演奏会と舞踏会
ウィーン弦楽四重奏団
 2月14日、ムジークフェラインのブラームスザールにて、ウィーン弦楽四重奏団がコンサートを行いました。プログラムはドヴォルジャークの「弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 作品51」と、ウェーベルンの「弦楽四重奏のための5つの楽章 作品5」、そしてソプラノのウルズラ・フィードラーが加わって、シェーンベルクの「弦楽四重奏曲 第2番 作品10」でした。
 また、2月のウィーンは舞踏会のシーズンです。我々がウィーン入りした2月11日にはウィーン国立歌劇場のオペルンバルが催されました。下はカメラータで毎年、暮れから新年にかけて招聘しているウィーン・オペラ舞踏会管弦楽団の、本業である「ウィーン国立歌劇場舞踏会」の写真です。指揮はもちろんウヴェ・タイマーです。
ウィーン国立歌劇場舞踏会
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