カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
 
インデアミューレとエストニア国立交響楽団によるルブランのオーボエ協奏曲
  2005年9月12日〜16日 Estonia Concert Hall、エストニア

 カメラータとしては初めて、バルト三国のひとつエストニアのタリンにある「エストニア国立交響楽団」を使ってのレコーディングが、9月12日から16日の5日間、ソリストにトーマス・インデアミューレを迎えて行われた。曲はルブランのオーボエ協奏曲3曲を収録した。
 ルブラン(Ludwig August Lebrun 1752〜1790)はマンハイムのオーケストラの首席オーボエ奏者兼作曲家で15曲近いオーボエ協奏曲の作品を残している。ルブランとモーツァルトとの親交は、ルブランがウィーンに行ってモーツァルトの自宅に泊めてもらったりしているほど親しい関係にあった。従って色々とモーツァルトに影響を与えたと思われる。
 当時マンハイムのオーケストラはすでにかなり大きな規模に達していて、それを反映してルブランの作品もティンパニーやトランペット2本にホルン2本といった編成で書かれていて、第1ヴァイオリンは10人もいたと記録がある。ホリガーがDGGに録音した6曲(全曲CD化はされていない)が「カメラータ・ベルン」と室内楽団を使っているのに対し、今回、ルブランのコンチェルトに「エストニア国立交響楽団」を迎えたのは、そのような時代背景を考慮し、ビッグサイズのシンフォニー・オーケストラを使って録音する事が作品を見直す機会になると信じて、タリンに来たという訳である。
 現在このオーケストラはニコライ・アレクセフ(ロシア)が音楽監督をつとめているが、今回はライスターの弟子で、このオーケストラのソロ・クラリネット奏者、且つ、副指揮者のトーマス・ヴァヴィロフが録音の指揮を担当した。初日は音決めに時間をたっぷり使い、第2番の第1楽章だけを収録。翌日からは毎日2楽章ずつの録音で5日間をかけた。
 このプロジェクトはホリガーがLP時代にDGGで録音した6曲を、来年の9月と今回に分けて3曲ずつ録るもので、今回収録したのは第2番 ト短調、第5番 ハ長調、それと第1番 ニ短調の3曲。
 コンチェルトのナンバー付けは1804年初版の Jean Andre によるエディションから来ているが、恐らく作曲された年代とは違っているものと思われる。たとえば第1番のニ短調は明らかにモーツァルトのニ短調のピアノ協奏曲 K.466(1785)と関係があるものではないかと想像される。
 録音ではこの1804年初版のパート譜(間違いも多い)を参考にし、第5番もこの初版による。第1番はショットより出版されているが、これにはトランペットは含まれていない。Jean Andre の初版のパートには"Cornet Clarinet"のパート譜があって、我々はそれを採用した。第2番は Karthause Verlag のエディションを使った。
 出来うる限り早く出したいと思っているが、来年には皆様の耳に届けられると思う。(井阪 紘)

[★CDは2006年8月、CMCD-20066〜7として発売]
0509
0509
0509
0509
 インデアミューレとヴァヴィロフ
0509
0509
【レコーディング・ニュースINDEX】
  ■HOME  ■NEWS  ■CD  ■CONCERT
■お問い合せ:TEL. 03-5790-5566 
       FAX. 03-5790-5562 
メール