カメラータ・トウキョウ レコーディング・ニュース
2001年6月〜7月 オーストリア

1)ウェルナー・ヒンク、ジャスミンカ・スタンチュールによる
  ブラームス・ソナタ全集の録音
  2001年6月29〜30日 スタジオ・バウムガルテン、ウィーン

 新星堂の「ウィーン」レーベルでシューベルトの「幻想曲」と組み合わせでブラームスのニ短調のソナタを録音していたウィーン・フィルの第1コンサートマスターのヒンクは2002年5月にブラームスザールで、ブラームスのソナタ3曲のコンサートが発表されており、それに向けて改めて全曲録音をスタートすることになった。
 1週間前に日本でドレシャルを加えたトリオで演奏旅行を終えたばかりの6月29日〜30日、先ずは第2番 イ長調と第3番 ニ短調からスタート。ウィーン人らしい良く歌った愛情のある演奏で、アティキュレーションなど入念にチェックしての録音となった。
 ピアノは曲によってベーゼンドルファーとスタインウェイを使い分ける予定だが、今回はベーゼンドルファーのグランドをベーゼンドルファーザールから移動しての録音。勿論、録音場所はいつものスタジオ・バウムガルテン。

[★CDは2004年11月、CMCD-28056として発売]
ヒンク&スタンチュール ヒンク&スタンチュール

2)ディーター・フルーリーの「フランス作品」の追加録音
  2001年6月30日 スタジオ・バウムガルテン、ウィーン

 ウィーン・フィルの二人のソロ・フルーティストを並行して録音している当社は、今回はフルーリーでフランス作品集を日本人若手ピアニスト辻本智美を起用して日本で収録してあったが、収録時間の関係からももう1曲ソロピースが欲しいと言うことで、6月30日急遽ヒンクのセッションの後、オネゲルの“Dance De La CHEVRE”が収録された。アルバムは近日発売予定で編集が急がれる状況である。

[★CDは2001年9月、28CM-597として発売]
ディーター・フルーリー  

3)カリーン・アダムとドリス・アダムのデュオによる「フォーレ作品集」
  2001年7月1〜2日 スタジオ・バウムガルテン、ウィーン

 久しぶりの2人のデュオによる録音はフォーレの2曲のヴァイオリン・ソナタと小品。ソナタの第1番は1876年 作品13と比較的若いフォーレの作品でドイツ的な要素を残した秀作。第2番は1916年 作品108で、ドビュッシーの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」と相前後した頃の作曲だから、フランス的な考えに貫かれて、第1番とはかなり異なった様相を呈しており、この2曲の奏き分けに苦慮した。
 これにCD収録の時間いっぱい最もフォーレらしい美しい旋律の小品を数曲納めた。「シシリアーノ」「夢の中で」「エレジー」「ロマンス」「アンダンテ 作品75」他。ピアノはベーゼンドルファー。

[★CDは2002年4月、28CM-670として発売]
カリーン・アダム カリーン&ドリス・アダム

4)ドリス・アダムのソロ・レコーディング
  2001年7月2〜4日 スタジオ・バウムガルテン、ウィーン

 昨年9月よりウィーン音楽院の教授に就任したドリス・アダムはベーゼンドルファー・ピアノ・コンクール 1993年の優勝者であり、ウィーンの若手では最も期待されているピアニストの一人。今回はかつてハンス・カンとルドルフ・ブッフビンダーの二人しか録音したことのない50人の作曲家による難曲「ディアベリのワルツによる変奏曲」の全曲に挑戦。
 一般的に知られているのはベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」作品120だが、シューベルトやフンメル、ツェルニーそして若きリストも作曲したこの50曲の変奏曲。1824年の歴史的な出版物の復刻版により今日でも楽譜がファクシミリ・エディションで入手可能となった。ウィーン人らしい、しかも若々しいドリス・アダムの演奏。何とか79分一枚に納めたいのだが…。

[★CDは2002年2月、28CM-662として発売]
ドリス・アダム ドリス・アダム
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