-
- アルディッティ弦楽四重奏団 西村 朗 作品集を収録
- 5月27日東京オペラシティホールで13時スタート20時終演という20世紀の弦楽四重奏曲だけのマラソン・コンサートを行った「アルディッティ弦楽四重奏団」は、その日も最後に1992年に彼等の委嘱で作曲された西村 朗の「弦楽四重奏曲 第2番〈光の波〉"Pulse of Light"」を奏いている。
- カメラータの今回の「アルディッティ弦楽四重奏団」初録音は、全曲 西村 朗の作品である。曲目は西村の習作である「弦楽四重奏のためのヘテロフォニー "Heterophony"」と、前述の第2番、それに1997年フランスのルーアンの現代音楽祭「ノルマンディの10月」の委嘱で、やはり彼等のために作曲された「弦楽四重奏曲 第3番〈エイヴィアン[鳥]〉"Avian"」。第3番は初録音で作曲者もこの曲について次のように書いている。
- 『曲は続けて演奏される3つの楽章より成っている。この曲における響きは、旋律や和声を形作る“音楽”としてではなく、一種の音の信号(シグナル)として発想されている。しかしその信号は意味の読みとりが不可能な暗号の類であり、たとえば、異界からのシグナルとして聞かれる鳥の声のようなものである。南アジアのある先住民族の社会では、鳥の声は死者の声という意味を持ち、その声は絶えず生者を糾弾していると考えられている。
- この作品には、異界からのシグナルに対して、ひとつの応答を試みるという意図が託されている。』――西村 朗
- たしかに鳥の声を模した巧みな書法と、超絶的な演奏技術を要する部分は、まさに他のグループは演奏不可能と言われても仕方がないほどの難曲。
- 後2曲は1995年の「日本国際音楽コンクール」の課題曲として作曲された「モノローグ(ヴァイオリン独奏のための) "Monologue"」(リーダーのアーヴィン・アルディッティのソロ)と、チェロの独奏で「悲歌(独奏チェロのため)"Threnody"」(ローハン・デ・サラムの独奏)が併せて収録された。
- 録音は5月29、30日の2日間。草津音楽の森国際コンサートホール。
- [★CDは2002年9月、28CM-524として発売]
-
|
西村 朗とアルディッティ弦楽四重奏団 |
|
|
|
草津音楽の森コンサートホールでの録音セッション |
|